以下の記事で市販の抵抗入りケーブルを紹介していますが、
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-88.html ER4P-24(ER38-24)やLIAAIL SCはL,Rの各chに
イヤホンに対して直列に抵抗を入れただけのものです。
一方、TF10付属アッテネータでは抵抗がイヤホンに対して
並列にも入っており、
いわゆるL型アッテネータとなっています。
これがどのような意味を持つのでしょうか。
アッテネータを入れた場合にイヤホンの音圧がどれだけ下がるかを計算した結果を示します。
アンプの出力インピーダンスは0とし、オームの法則を単純に適用して計算しています。 アッテネータによる音圧減少の大きさはイヤホンのインピーダンスによって変わりますが、
グラフを見れば分かるように、抵抗を並列に入れることにより
イヤホンのインピーダンスが変わっても減衰率が変化しにくくなります。
実際にER4P-24とTF10付属アッテネータをBA型イヤホンに使って
周波数特性の変化を測定したので、結果を示します。
使用したヘッドホンアンプは出力インピーダンス0.1Ω以下のHP-A7、生データです。 BA型のイヤホンは周波数によってインピーダンスが大きく変化するため
アッテネータを使用すると周波数特性が変化してしまうのですが、
TF10付属アッテネータでは確かに周波数特性の変化が抑えられています。
しかし、それでもTF10では周波数特性は5dB以上も変化してしまいます。
TF10では高域のインピーダンスが7Ω程度と極めて低くなっているためです。
周波数特性をほとんど変化させないアッテネータが必要であれば
並列にする抵抗を1Ω位にすれば良いのですが、
こうすると普通の数倍~数十倍の大電流が必要になり
アンプに大きな負担がかかってしまいます。
もし実際にこのようなアッテネータを使う場合は
アンプの仕様や能力を確認してから自己責任で使いましょう。
■ヘッドホンの「インピーダンス整合回路」について 
SONYのMDR-F1、MA900では「インピーダンス整合回路」の搭載を謳っていますが、
これはレシーバに並列に抵抗を入れることにより
アンプの出力インピーダンスの違いによる周波数特性変化を抑制するものです。
http://rinchoi.blogspot.jp/2012/07/sony-mdr-ma900-in-depth-analysis.html やっていることはTF10付属アッテネータと全く同じというわけですね。

TDKのTH-ECBA200BBKの「インピーダンススタビライザー」も
おそらく同様のものだろうと思います。
こちらは資料がないので断定はできませんが。
※2013/6/25 追記
・TDKのTH-ECBA200BBKの「インピーダンススタビライザー」について 参考リンク http://rinchoi.blogspot.jp/2013/04/tdk-ba200.html
http://www.google.com/patents/US20130028437より
TDKのものには抵抗だけではなくコイルも並列に入っており、
より積極的に入力インピーダンスをフラットにしようとしているようです。