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Sound and Vision Magazineの周波数特性データについて

ヘッドホン/イヤホンの特性を示してくれる貴重なサイトの一つが
Sound and Vision Magazine http://www.soundandvisionmag.com/
であるが、残念ながらここにあるヘッドホン/イヤホンの周波数特性データは
全て表示方法が間違っているため、読者が補正してから見る必要がある。

以下、Sound and Vision Magazineの周波数特性データの見方、
他サイトとのデータ比較、どこがどう間違っているかの説明など。


■Sound and Vision Magazine のデータの見方

RA0045_typical_coupler_frequency_response.png 

http://www.grasinfo.dk/documents/pd_43AG_ver_10_september_2012.pdfより

Sound and Vision Magazineのヘッドホン/イヤホンの周波数特性データは
音圧レベル実測値から上記グラフの値が引かれたものとなっていると思われるが、
これは必要のない操作であるため、
上記グラフの値を加算して初めて正しい測定値になる。




■周波数特性データのサイト間比較

・Ultimate Ears UE900

FR_UE900_Sound+Vision.png 

http://www.soundandvisionmag.com/article/review-logitech-ue-9000-6000-and-900-headphones?page=0,3より

FR_UE900_Innerfidelity.png 

http://www.innerfidelity.com/images/LogitechUE900.pdfより

FR_UE900_Golden_Ears.png 

http://en.goldenears.net/15522より



・AKG K550

FR_K550_Sound+Vision.png 

http://www.soundandvisionmag.com/blog/2012/07/30/review-akg-k550-headphonesより

FR_K550_Innerfidelity.png 

http://www.innerfidelity.com/images/AKGK550.pdfより

FR_K550_Golden_Ears.png 

http://en.goldenears.net/13746より





■説明

・ヘッドホン/イヤホン測定の基礎
ヘッドホン、イヤホン、補聴器などは鼓膜に音を届けるのが目的であり、
鼓膜にどのような音を届けられるかということが重要。
当然、特性を測定する場合も鼓膜位置で測定するのが基本となるが、
実際の人間の鼓膜位置にマイクを突っ込むのは無理(※)なので、
代わりに人間の耳と同等の特性を持った人工耳を使って測定することになる。
人工耳にはIEC60318などの規格も定められている。

※耳に突っ込んで使えるプローブマイクや、それを使って行う測定もあるが、
 プローブを入れることで耳-イヤーピースの隙間が増えて低域漏れを起こす原因になる、
 高域では外耳道内の僅かな位置の差で音圧が大きく異なるため
 鼓膜位置にぴったりつけられないプローブマイクではそもそも誤差が大きすぎる、
 またチューブ先端位置を正確に決めるのが不可能で精度や再現性が低いなど、
 問題が多く正確な測定は極めて困難。
 これらの問題に加えて外耳の形状や特性の個人差もあるため、
 実耳測定をヘッドホン/イヤホン測定の統一的基準とするのは不可能。



・Sound and Vision Magazineのヘッドホン/イヤホン測定環境
各ヘッドホンレビューページ内、Measurement節の記載によると
G.R.A.S.43AG Ear and Cheek Simulatorを使用しているらしい。
http://www.grasinfo.dk/documents/pd_43AG_ver_10_september_2012.pdf
内部には人間の耳の入力音響インピーダンス特性を模したカプラ、
Ear Simulator RA0045が入っている。


・RA0045 の coupler frequency response とは

RA0045_typical_coupler_frequency_response.png 

http://www.grasinfo.dk/documents/pd_43AG_ver_10_september_2012.pdfより

補聴器やBA型イヤホンなど音響インピーダンスが十分高い機器を
カプラを密閉して先端が reference plane (カプラ奥まで約14mmの位置)
に来るように装着した際のカプラによるゲインを500Hzで正規化して示したもの。
1kHz以上での音圧上昇はカプラの入力音響インピーダンスの上昇、
13kHzのピークはカプラ内の両端閉管気柱共鳴による。
このカプラゲインが実耳ゲインと同じになってくれないと困るからこそ、
わざわざイヤホン測定に人工耳を用いるのである。


・Sound and Vision Magazineの間違いについて
前述した通り、ヘッドホン/イヤホンの特性は鼓膜位置で測るのが基本であり、
この特性というのは当然ながらカプラゲインも含んだものである。
よって、わざわざカプラゲインを差し引いて表示する意味は全くない

なお、カプラメーカーがわざわざカプラゲインを公開しているのは、
測定値からカプラゲインを引く必要があるからではなく、
他のカプラで測定したデータと比較するのに必要だからである。

もしかすると、Sound and Vision Magazine には何らかの意図があって
カプラゲインを差し引いた特性を表示したいのかもしれないが、
そうだとすると個々のデータ毎に違った補正が必要となるのは言うまでもない。
カプラ入口の状態(開放か密閉か)、ヘッドホン/イヤホンの出力音響インピーダンス、イヤホンの挿入深度
などによってカプラゲインは変わるからである。
Sound and Vision Magazine では一様にスペックシートにあるグラフの値を
差し引いてしまっているため、カプラゲインを差し引いたデータとしても間違っている。


Sound and Vision Magazine のヘッドホン/イヤホン担当者は
測定について全然分かっていないのではないか、と言わざるを得ない。


・Sound and Vision Magazine のデータは信用できるか?
測定系はマトモでアンプの出力インピーダンスにも言及されている。
ヘッドホン/イヤホンの測定それ自体は装着してボタンを押すだけの作業であり、
知識の全くない人でも機器やソフトの説明書通りにやればできてしまうので、
測定値自体はそれなりに信用していい、と私は思う。

実際、カプラゲイン分の補正さえすれば余所と見比べても
概ね同様のデータが得られているようである。

ただし、こんなミスをする辺り、担当者の知識が足りないのは明らかなので、
他にも何かこちらでは知りようのないミスをしている可能性もあるが。




■参考リンク

RECDについて
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-90.html
ただの筒状カプラと人工耳の違いについての説明記事

| 測定について | 20:22 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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