テスターでケーブルの共通インピーダンスを測る

テスターを当てるだけで簡単に共通インピーダンスを測る方法と
実際にいろいろなイヤホン/ヘッドホンを測定した結果の紹介。
4線(L側とR側でGNDが分離されている)か3線(GND共通)か
外観からは分からないケーブルの構造も判別することができ、
イヤホン/ヘッドホンのクロストーク特性を予測することもできる。
※ 2013.1.19 図追加,一部書き直し
イヤホン/ヘッドホンのクロストーク
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-67.html

①. イヤホン/ヘッドホンのプラグにテスターを当ててLch―GND間の抵抗を測定
②. 同様にRch―GND間の抵抗を測定
③. 同様にLch―Rch間の抵抗を測定
④. (①+②-③)/2 よりケーブルの共通インピーダンスRcを算出
Rcが0なら4線、0でなければ3線構造のケーブルだと判断できる
■測定結果 (使用テスター:A&D AD-5520)
小数第一位までしか表示されないテスターによる測定値を使って算出しているため
測定ミスがなくても±0.1Ω程度は誤差が生じている可能性がある(※詳しくは後述)。
単位は全てΩ | |||||
機種名 | L~GND | R~GND | L~R | Rc | 判定 |
AH-C360 | 15.0 | 15.0 | 30.0 | 0 | 4線(平行ケーブル) |
ATH-M50 CWH | 33.6 | 36.3 | 67.1 | 1.4 | 3線 |
AURVANA Air | 33.9 | 33.9 | 67.0 | 0.4 | 3線 |
AURVANA In-Ear2 | 27.4 | 27.4 | 53.8 | 0.5 | 3線 |
AURVANA In-Ear3 | 20.4 | 20.5 | 41.0 | -0.05 | 4線 |
AURVANA Live! | 31.3 | 31.1 | 62.4 | 0 | 4線(平行ケーブル) |
BSHSMP06Y12 | 11.8 | 11.6 | 23.0 | 0.2 | 3線 ※1 |
ER-4PT | 23.5 | 23.3 | 46.6 | 0.1 | 3線(?) ※2 |
Fidelio S2 | 24.3 | 23.3 | 46.8 | 0.4 | 3線 |
GH-ERC-DMS | 27.6 | 26.4 | 53.1 | 0.45 | 3線 |
HA-FXC71 | 16.7 | 17.6 | 33.5 | 0.4 | 3線 |
hf5 | 17.1 | 17.1 | 33.5 | 0.35 | 3線 ※1 |
HS-930i | 17.0 | 17.0 | 34.1 | -0.05 | 4線 |
iPod touch 5th付属 | 40.9 | 41.5 | 82.3 | 0.05 | 4線 |
K701 | 57.8 | 58.2 | 116.0 | 0 | 4線 |
LAWSON100 | 34.1 | 31.0 | 65.1 | 0 | 4線(平行ケーブル) |
MA850G/B | 23.2 | 23.0 | 46.2 | 0 | 4線 ※1 |
MG-G608付属 | 17.5 | 17.8 | 35.3 | 0 | 4線(平行ケーブル) |
MP330付属 | 34.6 | 35.3 | 70.0 | -0.05 | 4線(平行ケーブル) |
NW-A860付属 | 16.0 | 16.5 | 32.5 | 0 | 4線 ※1 |
NW-E050付属 | 15.5 | 16.2 | 30.8 | 0.45 | 3線 |
SE-CL24 | 17.3 | 17.6 | 33.6 | 0.65 | 3線 |
SE-MJ151 | 28.3 | 29.3 | 56.4 | 0.6 | 3線 |
q-JAYS LE | 25.5 | 25.5 | 51.0 | 0 | 4線(?) ※3 |
Titan 1 | 16.5 | 16.3 | 32.0 | 0.4 | 3線 ※4 |
Triple.fi 10Pro | 31.4 | 31.3 | 62.3 | 0.2 | 3線 ※4 |
TripleFi 10 | 32.0 | 31.9 | 64.0 | -0.05 | 4線 ※5 |
TH-ECMA600BK | 40.9 | 40.5 | 80.2 | 0.6 | 3線 |
UE100 | 16.4 | 16.1 | 32.5 | 0 | 4線 |
UE200 | 17.5 | 17.4 | 34.9 | 0 | 4線 |
UE600 | 9.4 | 8.9 | 18.4 | -0.05 | 4線 |
XBA-10 | 16.0 | 15.6 | 30.9 | 0.35 | 3線 |
※1 リモコンマイク用の線は除いた数
※2 この値だけ見ると4線の可能性も否定しきれないが、
クロストークの値とケーブルの太さから3線と判定した
※3 太く短いケーブルなので3線でRcが極めて小さいという可能性もありそう
※4 ストレート型プラグのもの
以下2サイトにケーブルを切った画像があり、ここでも3線であることが確認できる
http://redguitar.net/index.php?itemid=1074
http://d.hatena.ne.jp/dantakatan/20100828/1283007524
※5 2012年8月に購入した、丸みを帯びたL字型プラグのもの
TF10(Pro)のケーブルの種類についてはこちらの記事を参照のこと。
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-114.html
・この方法における測定誤差について
テスターは少数第二位を四捨五入した値を表示するものとして、
上記方法で算出したRcの真の値からのずれをERcとすると
-0.075 < ERc ≦ 0.075 となる。
ただし、Rc=0の場合は
-0.05 < ERc ≦ 0.05 となる。
実際にはテスター自体のずれや測定毎に各種要因により生じる誤差などもあり、
真の値からのずれはこれらより大きくなりうる。
(例えば測定時の接触抵抗が測定毎に0~RtΩの範囲で変動する場合
-0.075 < ERc ≦ 0.075+Rtとなる。)
測定ミスがなくても±0.1Ω程度は誤差が生じている可能性がある、
としたのはこの辺りを考慮したため。
もし0.1Ω以上の誤差が出るようなら測定ミス、計算ミス、機器の異常を疑うべきだろう。
| ケーブル | 20:10 | comments:10 | trackbacks:0 | TOP↑
初めまして。
手持ちのイヤホンとヘッドホンを4線化改造してクロストーク改善をしているところ、他の方がどのようにしているか気になって調べていたところ、このサイトを拝見させていただきました。
共通インピーダンスの測定方法についてですが、テスターではなく逆相の音声で打ち消し合う時の音量差を測定する方が小さな値まで測れて良いと思います。
静かな部屋で正常な聴覚をお持ちなら-60dB(Rc/(L~GND)=1/1000)から-80dB(Rc/(L~GND)=1/10000)程度までは測定できるはずです。
http://henteko.pa.land.to/article/0004.html
| 川本優 | 2012/11/03 21:22 | URL |