装着具合による音質への影響(周波数特性変化)
イヤホンの挿入深度(カプラ長)や密閉度による周波数特性変化について。
実際に耳で聞く場合にも測定する場合にも非常に重要な要素です。
実際に耳で聞く場合にも測定する場合にも非常に重要な要素です。
■挿入深度による周波数特性変化

・外耳道(カプラ)内のイヤーピース~鼓膜(マイク)間の気柱の閉管共鳴
カナル型イヤホンでは、
イヤーピース~鼓膜(マイク)間の長さをL, 周波数をf, 音速をvとすると、
f = nv/2L (n=1,2,3,…)の周波数で気柱共鳴が発生し、ピークが現れます。
高校物理で最初のほうに学ぶアレそのものの現象です。
音速 340m/sとすると、第一、第二のピークは
イヤホンを鼓膜まで 20mm の位置まで挿入した場合 8.5kHz, 17kHz
イヤホンを鼓膜まで 13mm の位置まで挿入した場合 13kHz, 26kHz
にそれぞれ現れることになります。
・最適な挿入深度は?
以上のように、挿入深度は周波数特性に非常に大きく影響します。
イヤホンによって、また人それぞれの好みによって最適な挿入深度は変わります。
例えば私の場合、ER-4やApple In-Ear(MA850G/B)では
公式に示されている通りの周波数特性が丁度好みなので
鼓膜まで13~14mm程度まで挿入し、共鳴ピークを12~13kHz辺りにして使用します。

AURVANA In-Ear2では9kHz辺りにピークを持ってきたときの音が好きなので、
鼓膜まで20mm弱になるよう浅めに装着します。

・挿入深度チェック用 スイープ信号 ※16kHzまでしか出ていません
スイープ信号を聞けば、自分の耳でどの周波数にピークが出ているか把握できます。
例えばER-4なら、上手く装着できれば16kHzまで殆ど凸凹なくフラットに再生でき
公式スペック通りの特性が得られるのが体感できるでしょう。
■密閉度による周波数特性変化

密閉度が完全な場合、カナル型イヤホンは原理的には0Hzまでフラットに再生できます。
しかし、空気漏れがあると上のグラフのように低域の音圧が下がってしまいます。
Hi-Fi再生のためには空気漏れがないように装着する必要があります。
■D型の前面ベント閉塞による周波数特性変化
・Fidelio S2 の例


D型イヤホンには前面にベント(穴)が設けられているものが多いのですが、
耳への装着具合によってはこのベントがいくらか塞がることもあり、
そうなってしまった場合特性が変わってしまいます。
詳しくはこちらの記事で。
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-166.html
■参考リンク
How deep do you insert your ER4?
http://rinchoi.blogspot.jp/2010/05/how-deep-do-you-insert-you-er4.html
山米舛さんの記事。この記事の他、
各イヤホンレビューの記事にも挿入深度を変えた場合のデータがあり、
測定結果、解説ともに非常に参考になります。
スピーカーの物理学 Ⅲ ダイナミックスピーカーの諸特性
http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/9722dynamicspeaker.pdf
志賀さんのサイト、「オーディオの科学」にあるスピーカーの教科書的資料。
最後に密閉型イヤホンの特性の基礎に関する説明があります。

・外耳道(カプラ)内のイヤーピース~鼓膜(マイク)間の気柱の閉管共鳴
カナル型イヤホンでは、
イヤーピース~鼓膜(マイク)間の長さをL, 周波数をf, 音速をvとすると、
f = nv/2L (n=1,2,3,…)の周波数で気柱共鳴が発生し、ピークが現れます。
高校物理で最初のほうに学ぶアレそのものの現象です。
音速 340m/sとすると、第一、第二のピークは
イヤホンを鼓膜まで 20mm の位置まで挿入した場合 8.5kHz, 17kHz
イヤホンを鼓膜まで 13mm の位置まで挿入した場合 13kHz, 26kHz
にそれぞれ現れることになります。
・最適な挿入深度は?
以上のように、挿入深度は周波数特性に非常に大きく影響します。
イヤホンによって、また人それぞれの好みによって最適な挿入深度は変わります。
例えば私の場合、ER-4やApple In-Ear(MA850G/B)では
公式に示されている通りの周波数特性が丁度好みなので
鼓膜まで13~14mm程度まで挿入し、共鳴ピークを12~13kHz辺りにして使用します。

AURVANA In-Ear2では9kHz辺りにピークを持ってきたときの音が好きなので、
鼓膜まで20mm弱になるよう浅めに装着します。

・挿入深度チェック用 スイープ信号 ※16kHzまでしか出ていません
スイープ信号を聞けば、自分の耳でどの周波数にピークが出ているか把握できます。
例えばER-4なら、上手く装着できれば16kHzまで殆ど凸凹なくフラットに再生でき
公式スペック通りの特性が得られるのが体感できるでしょう。
■密閉度による周波数特性変化

密閉度が完全な場合、カナル型イヤホンは原理的には0Hzまでフラットに再生できます。
しかし、空気漏れがあると上のグラフのように低域の音圧が下がってしまいます。
Hi-Fi再生のためには空気漏れがないように装着する必要があります。
■D型の前面ベント閉塞による周波数特性変化
・Fidelio S2 の例


D型イヤホンには前面にベント(穴)が設けられているものが多いのですが、
耳への装着具合によってはこのベントがいくらか塞がることもあり、
そうなってしまった場合特性が変わってしまいます。
詳しくはこちらの記事で。
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-166.html
■参考リンク
How deep do you insert your ER4?
http://rinchoi.blogspot.jp/2010/05/how-deep-do-you-insert-you-er4.html
山米舛さんの記事。この記事の他、
各イヤホンレビューの記事にも挿入深度を変えた場合のデータがあり、
測定結果、解説ともに非常に参考になります。
スピーカーの物理学 Ⅲ ダイナミックスピーカーの諸特性
http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/9722dynamicspeaker.pdf
志賀さんのサイト、「オーディオの科学」にあるスピーカーの教科書的資料。
最後に密閉型イヤホンの特性の基礎に関する説明があります。
| 音質に影響する要因 | 23:58 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑
挿入深度について
大変参考になる内容で楽しくよませていただいてます。
挿入深度について疑問がわいたのですが
鼓膜から13mmとのことですが
ご自分の外耳道の長さを計られたのでしょうか?
もしくは25mmと仮定して入り口から12mmの深さで挿入されてる?
でも入り口の定義があいまいなので問題があるのかなと思います
| 通りすがり | 2015/03/13 10:00 | URL | ≫ EDIT