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DFと制動力 その2 出力インピーダンスによる共振の変化



ダンピングファクター(DF)と制動力 その1 概要
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-167.html
の続き。一般論は上記事で述べている。

本記事ではスピーカー(Tangent EVO E4)とヘッドホン(SENNHEISER HD650)でアンプの出力インピーダンス(電気的制動力)を変化させたとき、共振の強さがどのように変化するか測定した結果を紹介する。

また、スピーカーとヘッドホンの違いについても簡単に説明する。


■測定条件

測定にはHP-A7のヘッドホン出力端子および自作WM-61Aマイクを用いた。
バースト波の生成にはWavegene、録音にはWavespectraを用いた。
出力インピーダンスを変化させるためにER38-24(82Ω)および自作抵抗入りケーブル(10kΩ)を使用した。
マイクの設置位置はTangent EVO E4ではウーファー中心の直前、HD650では私の外耳道の入り口とした。
その他の測定条件はいつも通り。




■出力インピーダンスによる共振の変化の実測例
 ― スピーカー Tangent EVO E4 の場合



Tangent EVO E4のインピーダンス特性(Zo=82Ωのアンプと接続し測定した結果)
サランネット装着状態のデータ。今回の実験にはLchと表記している個体を使用した。
最低共振周波数f0は約100Hzであることが分かる。
Imp_Tangent_EVO_E4.png

・入力信号波形
100Hzのサイン波10波のバースト波。
共振の影響のない250Hzの正弦波を使い、スピーカー端子部の電圧が0.10Vrmsとなるように入力電圧を合わせた。
EVO_E4_100Hzburst_reference.png

バースト波再生波形の測定結果
 blue:Zo=0.1Ω(DF=46), yellow:Zo=82Ω(DF=0.056)

サランネット装着状態でウーファーの直前にマイクを置いて測定した。
EVO_E4_DF.png

青線はZo=0.1Ωのほぼ定電圧駆動での結果。電気的制動力を決める回路全体の抵抗はスピーカーの抵抗+0.1なので4.7Ωとなる。(今回用いたスピーカーケーブルの直流抵抗は0.1Ω以下であったので無視できる。)
このときのQtsを減衰波形から読み取ると1強程度。

黄線はZo=82Ωとしたときの結果。いわゆる「DF」は1/820倍になっている。回路全体の抵抗は82+4.6で86.6Ωとなり、Zo=0.1Ωの時と比べて19倍となっている。つまり、電気的制動力は1/19倍となり、Qesは19倍となっている。
このときのQts(≒Qms)を減衰波形から読み取ると3~4程度。

青と黄で振幅がずいぶん異なるが、入力電圧は全く同じにして測定している。共振によって振幅が増大した結果こうなるのである。また、共振のため減衰も遅れている。立ち上がりも遅れて見えるが、初期の立ち上がりが実際に遅くなっているのではなく共振により後ろの振幅が増大することにより相対的に初期振幅が小さくなる結果遅れて見えるのであり、これを単純に立ち上がりの遅れと呼ぶべきなのか私には分からない。




■出力インピーダンスによる共振の変化の実測例
 ― ヘッドホン SENNHEISER HD650 の場合




HD650のインピーダンス特性(Zo=82Ωのアンプと接続し測定した結果)
今回の実験にはLchを用いた。測定はイヤパッドと耳の間にマイクを挿しこんだ状態で行ったため、密閉度が低くなっている可能性がある。つまり本測定時のインピーダンス特性は下図の装着時と非装着時の中間のどこかになっていると考えられる。
Imp_HD650.png

・入力信号波形
80Hzのサイン波10波のバースト波。
共振の影響のない2kHzの正弦波を使い、スピーカー端子部の電圧が0.10Vrmsとなるように入力電圧を合わせた。
HD650_80Hzburst_reference.png

バースト波再生波形の測定結果
 blue:Zo=0.1Ω(DF=320), yellow:Zo=10kΩ(DF=0.032)

HD650_DF.png

青線はZo=0.1Ωのほぼ定電圧駆動での結果。電気的制動力を決める回路全体の抵抗はヘッドホンの抵抗+0.1で320Ωとなる。
このときのQtsを減衰波形から読み取ると0.5程度か。

黄線はZo=10kΩとしたときの結果。いわゆる「DF」は1/10,000倍になっている。回路全体の抵抗は10000+320で10320Ωとなり、Zo=0.1Ωの時と比べて32倍となっている。つまり、電気的制動力は1/32倍となり、Qesは32倍となっている。
このときのQts(≒Qms)を減衰波形から読み取ると0.8程度か。

これだけ電気的制動力が激減しQesが増大しているにも関わらず、Tangent EVO E4の場合と比べるとQ値の変化は小さく、制動力はそれほど減少していないことが分かる。これは機械的制動力が大きくQmsが小さいことを意味する。




■スピーカー(ウーファー)とヘッドホンの違い

スピーカー(ウーファー)の場合、一般にQms>Qesであるので、アンプの出力インピーダンスがスピーカーのインピーダンスと比べて無視できない程度に大きくなりQesが増大すると、それに伴いQtsも大きく変化する(全制動力に占める機械的制動力の割合が小さく電気的制動力の割合が大きいため、電気的制動力が変化するとそれに伴って全制動力も変化する)。

例: 定電圧駆動時のQes=1.0, Qms=3.0でインピーダンスR[Ω]のスピーカーの場合、
  アンプの出力インピーダンスをZoとすると、
  Zo=0[Ω]のとき Qes=1.0, Qms=3.0 より Qts=1/(1/1+1/3)=0.75
  Zo=R[Ω]のとき Qes=2.0, Qms=3.0 より Qts=1/(1/2+1/3)=1.2
  Zo>>Rのとき   Qes>>Qms=3.0 より Qts=3.0 となる。



一方ヘッドホンの場合、一般にQmsは小さくQesと同程度かそれ以下になっている場合が多く、アンプの出力インピーダンスが大きくなりQesが増大してもQtsへの影響は小さい(全制動力に占める機械的制動力の割合が大きく電気的制動力の割合が小さいため、電気的制動力が変化しても全制動力の変化は小さい)。

例: 定電圧駆動時のQes=1.5, Qms=0.8でインピーダンスR[Ω]のヘッドホンの場合、
  アンプの出力インピーダンスをZoとすると、
  Zo=0[Ω]のとき Qes=1.5, Qms=0.8 より Qts=1/(1/1.5+1/0.8)=0.52
  Zo=R[Ω]のとき Qes=3.0, Qms=0.8 より Qts=1/(1/3+1/0.8)=0.63
  Zo>>Rのとき   Qes>>Qms=0.8 より Qts=0.8 となる。





■補足 Q値と減衰振動(臨界減衰、過減衰)の様子


Q値による減衰振動の違いを示したグラフ。縦軸は変位、横軸は時間(秒)。
固有振動数100Hz、初期変位1、初期速度0とした。
ヘッドホンの音圧は基本的には変位に比例するので、このグラフと減衰波形をフィッティングすればQを求めることができる。

damped_oscillation_vt.png
縦軸に速度(変位の微分)をとったグラフ。縦軸の絶対値には意味はない。
このグラフは正確には微分ではなく0.0001秒ごとの変位の変化を取った結果。

damped_oscillation_at.png
縦軸に加速度(速度の微分)をとったグラフ。縦軸の絶対値には意味はない。
このグラフは正確には微分ではなく0.0001秒ごとの速度の変化を取った結果。
スピーカーの音圧は加速度に比例するので、このグラフと減衰波形をフィッティングすればQを求めることができる。





■参考リンク

スピーカー再生技術研究会
今井 明, スピーカーのDFと過渡特性の関係について, 2011/12/08

http://rilsrt.web.fc2.com/documents/RILSRT009_damping-factor.pdf
本記事と同様の測定を行った事例。測定結果は参考になる。
MmsとQ値の関係を理解したければTSパラメータの式を見たほうが良い。


※2014/4/8 不正確な記述を修正

| 音質に影響する要因 | 18:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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