イヤホン/ヘッドホンのクロストーク
オーディオにおけるクロストークとは、
ステレオ機器で左右の音が混ざり合ってしまう現象のことです。
以下、イヤホンケーブルで発生するクロストークについての測定結果など。
ステレオ機器で左右の音が混ざり合ってしまう現象のことです。
以下、イヤホンケーブルで発生するクロストークについての測定結果など。
■イヤホンのケーブルで発生する逆相クロストーク

アンプの出力インピーダンスをZ、
イヤホンのレシーバ(ドライバ)のインピーダンスをR、
GNDの共通部分とケーブルのそれ以外の部分のインピーダンスを
それぞれRc、Rhとすると、 Rc << Z + R + Rh のとき
ケーブルで発生する逆相クロストークの大きさは
20log[Rc / (Z + R + Rh + Rc)] (dB)
となります。
この式はオームの法則から簡単に導出できますので考えてみて下さい。
■市販のイヤホンのクロストーク特性
一般的なイヤホンではどの程度のクロストークが発生しているのでしょうか。
手持ちのイヤホン13本について測定した結果を示します。

(測定に使用したヘッドホンアンプはHP-A7です。出力インピーダンスは0.1Ω以下、
アンプ自体のクロストークは全域で-70dB以下であり測定結果への影響は無視して良いでしょう。
どの曲線がどのイヤホンのものかはいちいち明記しませんが、
気になる方は各イヤホンのインピーダンス特性と見比べれてみれば分かると思います。)
機種ごとにクロストークの大きさが異なるのが分かります。
いくつかピックアップして紹介しましょう。
クロストークが-60dB以下とほぼ皆無のもの(グラフには載せていません)
KH-C311、LAWSON100、MA850G/B
これらはLchとRchでアース線が分離された4線構造になっているため、
GNDの共通インピーダンスRcがほぼ0であり、逆相クロストークがほぼ発生しません。
GNDのプラグ~アンプ内部配線部分にRcが存在するため完全に0にはなりませんが。
KH-C311とLAWSON100についてはケーブルの見た目から分かっていたことですが、
MA850G/BもGND線が分離した4線構造になっていたのは意外でした。
クロストークが-45dB以下と比較的小さいもの
q-JAYS(グラフなし)、AURVANA In-Ear、ER-4PT
これらの機種は明らかにケーブルが太く硬いので、
導体径が太くRcが小さいのだと考えられます。
q-JAYSはショートケーブルでGND線の共通部分が短いこともあり
クロストークはノイズに埋もれてまともに測定できないほど小さかったです。
クロストークが-30dB程度と比較的大きいもの
RP-HJF3、ZH-BX500、HP-B900N、他
これらはどれもケーブルがかなり細い、または柔らかいです。
導体径が細くRcが大きいと考えられます。
また、HP-B900Nではインピーダンスが10Ω強と小さいことも
クロストークが大きくなる原因となっています。
ここまで述べてきたように、この逆相クロストークはGNDの共通インピーダンスRcが存在することにより現れるものなので、4線ケーブルを使うことによりほぼ排除できます。
ただし、ヘッドホン環境において人間の聴覚で検知出来るクロストークがどの程度かということについて、私はデータを見たことがないので知りません。
スピーカー環境ではスピーカー入力段まで全域で-26dB確保できていれば十分であるようです。
仮にヘッドホン環境で一般的なステレオ音源の楽曲を聞いていて人間が検知出来るクロストークの限界が-30dB程度であるとすると、インピーダンスが10Ωそこそこの機種に長い延長ケーブルを使ったりしない限りは3線でも十分にクロストークは小さく抑えられており、クロストークを気にする必要はないと言えます。
■参考リンク
イヤホンのリケーブルと音質
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-68.html
テスターでケーブルの共通インピーダンスを測る
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-115.html
テスターを当てるだけで簡単に共通インピーダンスを測る方法と
実際にいろいろなイヤホン/ヘッドホンを測定した結果の紹介記事。
ミニプラグ-ジャック間の接触抵抗について
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-70.html

アンプの出力インピーダンスをZ、
イヤホンのレシーバ(ドライバ)のインピーダンスをR、
GNDの共通部分とケーブルのそれ以外の部分のインピーダンスを
それぞれRc、Rhとすると、 Rc << Z + R + Rh のとき
ケーブルで発生する逆相クロストークの大きさは
20log[Rc / (Z + R + Rh + Rc)] (dB)
となります。
この式はオームの法則から簡単に導出できますので考えてみて下さい。
■市販のイヤホンのクロストーク特性
一般的なイヤホンではどの程度のクロストークが発生しているのでしょうか。
手持ちのイヤホン13本について測定した結果を示します。

(測定に使用したヘッドホンアンプはHP-A7です。出力インピーダンスは0.1Ω以下、
アンプ自体のクロストークは全域で-70dB以下であり測定結果への影響は無視して良いでしょう。
どの曲線がどのイヤホンのものかはいちいち明記しませんが、
気になる方は各イヤホンのインピーダンス特性と見比べれてみれば分かると思います。)
機種ごとにクロストークの大きさが異なるのが分かります。
いくつかピックアップして紹介しましょう。
クロストークが-60dB以下とほぼ皆無のもの(グラフには載せていません)
KH-C311、LAWSON100、MA850G/B
これらはLchとRchでアース線が分離された4線構造になっているため、
GNDの共通インピーダンスRcがほぼ0であり、逆相クロストークがほぼ発生しません。
GNDのプラグ~アンプ内部配線部分にRcが存在するため完全に0にはなりませんが。
KH-C311とLAWSON100についてはケーブルの見た目から分かっていたことですが、
MA850G/BもGND線が分離した4線構造になっていたのは意外でした。
クロストークが-45dB以下と比較的小さいもの
q-JAYS(グラフなし)、AURVANA In-Ear、ER-4PT
これらの機種は明らかにケーブルが太く硬いので、
導体径が太くRcが小さいのだと考えられます。
q-JAYSはショートケーブルでGND線の共通部分が短いこともあり
クロストークはノイズに埋もれてまともに測定できないほど小さかったです。
クロストークが-30dB程度と比較的大きいもの
RP-HJF3、ZH-BX500、HP-B900N、他
これらはどれもケーブルがかなり細い、または柔らかいです。
導体径が細くRcが大きいと考えられます。
また、HP-B900Nではインピーダンスが10Ω強と小さいことも
クロストークが大きくなる原因となっています。
ここまで述べてきたように、この逆相クロストークはGNDの共通インピーダンスRcが存在することにより現れるものなので、4線ケーブルを使うことによりほぼ排除できます。
ただし、ヘッドホン環境において人間の聴覚で検知出来るクロストークがどの程度かということについて、私はデータを見たことがないので知りません。
スピーカー環境ではスピーカー入力段まで全域で-26dB確保できていれば十分であるようです。
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牧田康雄, 現代 音響学, オーム社, 1986, p132
表3.1 ステレナ伝送系の再生端における諸特性の推奨規格 より
仮にヘッドホン環境で一般的なステレオ音源の楽曲を聞いていて人間が検知出来るクロストークの限界が-30dB程度であるとすると、インピーダンスが10Ωそこそこの機種に長い延長ケーブルを使ったりしない限りは3線でも十分にクロストークは小さく抑えられており、クロストークを気にする必要はないと言えます。
■参考リンク
イヤホンのリケーブルと音質
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-68.html
テスターでケーブルの共通インピーダンスを測る
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-115.html
テスターを当てるだけで簡単に共通インピーダンスを測る方法と
実際にいろいろなイヤホン/ヘッドホンを測定した結果の紹介記事。
ミニプラグ-ジャック間の接触抵抗について
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-70.html
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