イヤホン、ヘッドホンのケーブル交換(リケーブル)と音質
イヤホン、ヘッドホンのケーブル交換(リケーブル)には効果があるのか?
リケーブルの際に気を付けるべき点は?ということについて。
リケーブルの際に気を付けるべき点は?ということについて。
■ケーブル交換で特性は変わるのか?
端的に言えば、変わります。
ただし、その変化が人間の聴覚で弁別できるほどの大きさになるかは別問題です。
実際のところ、多くの場合リケーブルによる効果は極めて小さく
人間の耳では到底聞き分けできないレベルの変化しかしません。(一部例外あり。)
心理効果は置いておくこととして、物理的に確実に変わるのは次の2点です。
・ケーブルの抵抗値変化による周波数特性変化
イヤホン、ヘッドホンのインピーダンス R は周波数によって異なるため、
(Z + Z') の値が変化するとそれによる音圧低下の大きさも周波数によって変わります。
よって、リケーブルにより Z' が変化すると周波数特性に変化が生じます。
・GNDの共通インピーダンス変化によるクロストーク特性変化
アンプの出力インピーダンスを Z、イヤホンのレシーバ(ドライバ)のインピーダンスを R,
GND線の共通部分とケーブルのそれ以外の部分のインピーダンスを
それぞれ Rc, Rh とすると、Rc << Z + R + Rh のとき
ケーブルで発生する逆相クロストークの大きさは
20log[Rc / (Z + R + Rh + Rc)] (dB) となります。
イヤホンケーブルには
3線(L側とR側のGND線がケーブルの途中でまとめられているもの)と
4線(L側とR側のGND線がプラグ部分まで別々になっているもの)があり、
4線ケーブル同士ではクロストークにはほとんど差は出ませんが、
3線ではGNDの共通インピーダンス Rc が増しクロストークが大きくなります。
※ここでは単純化のため、ケーブル他を単なる抵抗とみなして計算しています。
低周波ケーブルによる影響を正確に計算するにはC、Lも考慮した集中定数回路で表すのが普通ですが、
イヤホンやヘッドホンのケーブルではC、Lの効果は極めて小さく無視できるからです。
※他にも変わる「可能性がある」要素(ノイズ耐性など)はありますが、
基本的に影響が小さく気にされることがない、私にとって定量的考察が難しい
等々の理由で考察の対象外としています。
■ケーブルの抵抗値に関するデータ
・各種ケーブルの抵抗値の測定結果
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-69.html
・各イヤホンケーブルの共通GNDインピーダンスの測定結果
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-115.html
・各種TripleFi 10用ケーブルの抵抗値
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-114.html
■リケーブル効果の例
・TripleFi 10
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-125.html
TF10 (10Pro) は、そのインピーダンス特性のため、
最もリケーブルによる特性変化が出やすいイヤホンの一つです。
・HD650
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-143.html
TF10とは対照的に、HD650はインピーダンスが全域で300Ω以上と非常に高いため、
ケーブルによる影響が極めて小さく、リケーブルは音質的には無意味です。
■リケーブルの前に理解しておくべきいくつかのこと
・「音が変わると感じる」のと「実際に音が変わる」のは全く別のこと
人の感覚には常に心理効果が働いています。
何かの拍子に「音が変わったと感じる」こと自体は間違いではありませんが、
そこで「現実にも変化が起きているに違いない!」と考えるのは大間違いです。
・物理的に変化があることと、人が変化を感じ取れるかどうかは別問題
人が聞き分けられるほどの変化があると主張するためには
変化の大きさを定量的に示し、人間の弁別閾を超えていることを示す必要があります。
・リケーブルの前にアンプの出力インピーダンスに注意
この記事の最初の図を見ればわかると思いますが、
ケーブルの抵抗はアンプの出力インピーダンスと合わせて考えないと意味がありません。
ケーブルで変わるのはせいぜい1~2Ωですが、
アンプの出力インピーダンスは10Ωなんてものもざらにあります。
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-99.html
・リケーブルの効果の程はケースバイケース
前述した通り、リケーブルの効果はイヤホンのインピーダンス特性次第。
上で紹介したTripleFi 10(10Pro)の例は極めて効果が大きく出やすいケースです。
(特定帯域でインピーダンスが極めて低いTF10と出力インピーダンスが0に近いHP-A7の組み合わせ)
他のほとんどのケースではこれよりずっと小さな効果しかありません。
リケーブルの効果は簡単に計算できるのですから、
自分の機器でリケーブルの効果はどの程度あるのか、まずは考えることです。
・ケーブルの抵抗値が小さいほど音が良くなるというわけではない
もちろん、逆もまた然り。
仮に人が聞き分けられるほど特性が変化する場合であったとしても、
どの音が良いと感じるかは完全に各人の好みの問題です。
・線材にこだわるのは無意味
線材が変われば抵抗率が変わるので、抵抗は定性的には確かに変わります。
ただし、その変化は銅から銀にしても約6%、
OFCからさらに純度を高めたところで1%以下に過ぎません。
これでどの特性が何dB変化するのか、計算して定量的に考えましょう。
その他、ハンダの種類やプラグの材質などについても同様のことが言えます。
・リケーブルより音質への影響が大きい要素が多くある
前述したアンプの出力インピーダンスはもちろんのこと、
他にもイヤホンの個体差、イヤーピース、耳への挿入深度などは
リケーブルよりずっと大きな影響をもたらす場合が多いです。
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-77.html
これらのことすら理解していないような人がケーブルに拘るのはナンセンスです。
端的に言えば、変わります。
ただし、その変化が人間の聴覚で弁別できるほどの大きさになるかは別問題です。
実際のところ、多くの場合リケーブルによる効果は極めて小さく
人間の耳では到底聞き分けできないレベルの変化しかしません。(一部例外あり。)
心理効果は置いておくこととして、物理的に確実に変わるのは次の2点です。
・ケーブルの抵抗値変化による周波数特性変化

イヤホン、ヘッドホンのインピーダンス R は周波数によって異なるため、
(Z + Z') の値が変化するとそれによる音圧低下の大きさも周波数によって変わります。
よって、リケーブルにより Z' が変化すると周波数特性に変化が生じます。
・GNDの共通インピーダンス変化によるクロストーク特性変化
アンプの出力インピーダンスを Z、イヤホンのレシーバ(ドライバ)のインピーダンスを R,
GND線の共通部分とケーブルのそれ以外の部分のインピーダンスを
それぞれ Rc, Rh とすると、Rc << Z + R + Rh のとき
ケーブルで発生する逆相クロストークの大きさは
20log[Rc / (Z + R + Rh + Rc)] (dB) となります。
イヤホンケーブルには
3線(L側とR側のGND線がケーブルの途中でまとめられているもの)と
4線(L側とR側のGND線がプラグ部分まで別々になっているもの)があり、
4線ケーブル同士ではクロストークにはほとんど差は出ませんが、
3線ではGNDの共通インピーダンス Rc が増しクロストークが大きくなります。
※ここでは単純化のため、ケーブル他を単なる抵抗とみなして計算しています。
低周波ケーブルによる影響を正確に計算するにはC、Lも考慮した集中定数回路で表すのが普通ですが、
イヤホンやヘッドホンのケーブルではC、Lの効果は極めて小さく無視できるからです。
※他にも変わる「可能性がある」要素(ノイズ耐性など)はありますが、
基本的に影響が小さく気にされることがない、私にとって定量的考察が難しい
等々の理由で考察の対象外としています。
■ケーブルの抵抗値に関するデータ
・各種ケーブルの抵抗値の測定結果
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-69.html
・各イヤホンケーブルの共通GNDインピーダンスの測定結果
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-115.html
・各種TripleFi 10用ケーブルの抵抗値
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-114.html
■リケーブル効果の例
・TripleFi 10
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-125.html
TF10 (10Pro) は、そのインピーダンス特性のため、
最もリケーブルによる特性変化が出やすいイヤホンの一つです。
・HD650
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-143.html
TF10とは対照的に、HD650はインピーダンスが全域で300Ω以上と非常に高いため、
ケーブルによる影響が極めて小さく、リケーブルは音質的には無意味です。
■リケーブルの前に理解しておくべきいくつかのこと
・「音が変わると感じる」のと「実際に音が変わる」のは全く別のこと
人の感覚には常に心理効果が働いています。
何かの拍子に「音が変わったと感じる」こと自体は間違いではありませんが、
そこで「現実にも変化が起きているに違いない!」と考えるのは大間違いです。
・物理的に変化があることと、人が変化を感じ取れるかどうかは別問題
人が聞き分けられるほどの変化があると主張するためには
変化の大きさを定量的に示し、人間の弁別閾を超えていることを示す必要があります。
・リケーブルの前にアンプの出力インピーダンスに注意
この記事の最初の図を見ればわかると思いますが、
ケーブルの抵抗はアンプの出力インピーダンスと合わせて考えないと意味がありません。
ケーブルで変わるのはせいぜい1~2Ωですが、
アンプの出力インピーダンスは10Ωなんてものもざらにあります。
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-99.html
・リケーブルの効果の程はケースバイケース
前述した通り、リケーブルの効果はイヤホンのインピーダンス特性次第。
上で紹介したTripleFi 10(10Pro)の例は極めて効果が大きく出やすいケースです。
(特定帯域でインピーダンスが極めて低いTF10と出力インピーダンスが0に近いHP-A7の組み合わせ)
他のほとんどのケースではこれよりずっと小さな効果しかありません。
リケーブルの効果は簡単に計算できるのですから、
自分の機器でリケーブルの効果はどの程度あるのか、まずは考えることです。
・ケーブルの抵抗値が小さいほど音が良くなるというわけではない
もちろん、逆もまた然り。
仮に人が聞き分けられるほど特性が変化する場合であったとしても、
どの音が良いと感じるかは完全に各人の好みの問題です。
・線材にこだわるのは無意味
線材が変われば抵抗率が変わるので、抵抗は定性的には確かに変わります。
ただし、その変化は銅から銀にしても約6%、
OFCからさらに純度を高めたところで1%以下に過ぎません。
これでどの特性が何dB変化するのか、計算して定量的に考えましょう。
その他、ハンダの種類やプラグの材質などについても同様のことが言えます。
・リケーブルより音質への影響が大きい要素が多くある
前述したアンプの出力インピーダンスはもちろんのこと、
他にもイヤホンの個体差、イヤーピース、耳への挿入深度などは
リケーブルよりずっと大きな影響をもたらす場合が多いです。
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-77.html
これらのことすら理解していないような人がケーブルに拘るのはナンセンスです。
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